今回は火災に関する基礎知識や初期消火の方法、消防団の活動について記事にしました。地域によっては自治会等が自主防災組織となり、地域の防災を担います。火災等の非常時への対応は地域の方々の協力が必要となりますので、一人ひとりが防災意識・知識を持つことが重要となります。
火災とは
火災は、何かが燃えて起こる現象です。一般に、ものが燃えるには可燃性物質、酸素、温度(熱源)の3つの要素が必要になります。これらは「燃焼の3要素」と呼ばれていますが、もちろん、すべての燃焼がすなわち火災というわけではありません。
火災の原因
出火原因別にみると、「たばこ」が発火源とされる火災による死者が突出して多く、次いで「ストーブ」となっています。
たばこからの出火
一口にたばこ火災と言っても,出火に至る要因は様々です。最も多かったのが,吸殻を屑入れ,袋等に捨てることにより出火したもので喫煙中に火源が落下したことにより出火したもので火種の落下に気付かなかった場合や不適切な吸い殻の後始末により火災となるケースが増えています。
ストーブからの出火
ストーブなどで暖をとっている時に、炎が直接衣類に触れて着衣着火し死に至るケースも報告されています。
また、ストーブの燃料を補給する際に、ストーブを消火せずに補給しようとし、緩んだカートリッジ式給油タンクのキャップから漏れた燃料に引火し、更に着ている服に燃え移った事例も多くあります。
こんろからの出火
揚げ物の調理中に電話がかかってきて火のそばを離れてしまい、高温となった油から出火する事例や、夜中にお酒のつまみを作ろうと鍋に火をかけたがそのまま眠った事例が上げられます。長時間熱せられた鍋から出火、調理後についうっかり消すのを忘れてしまったり、調理中に少しのつもりで火のそばから離れてしまったりすることが原因となります。
タバコによる出火が40%を超えているようね…。喫煙者の方は注意しないとね。
わしも『ストーブの消し忘れ』や『料理中の火の消し忘れ』で危なかった時があったのう…。注意しなければのう…。
もし火災が起きたら
119番通報をして消防隊を呼ぶということが、真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし、実はそれだけでは、火災の被害を最小限に抑えられません。なぜなら、火災時の対応で大事なのが、発生から2分以内の初期消火だからです。消防隊が到着するのが、通報から平均7〜8分。火災をそれほど放置していると、全焼のリスクが増大します。
火災が発生した際、火災の拡大を防ぐためには、火災発生の段階で火元を消す初期消火を行うことが重要になってきます。一般的に、建物内で火災が発生してから3分以内に天井に火が燃え移ります。そうなると、もう初期消火は不可能です。もし、天井まで広がる状態になった場合、すみやかに避難し消防隊の到着を待ちましょう。
建物火災の場合、火災発生から3分で初期消火は不可能になるのね…。
火災に遭遇した時の対応
出火に居合わせたら、「通報」「初期消火」「避難」の順に行動することが基本です。しかし、状況によっては優先順位が異なりますので、逃げ遅れないように冷静な判断を心掛けましょう。
大声で知らせる!
● 「火事だ!」と大声で叫び、隣近所に知らせてください。声がが出ない場合は、非常ベルを鳴らすか、物を叩くなどして異変を知らせてください。
● 小さな火でも119番に通報してください。当事者は消火にあたり、近くの人に通報を頼んでください。
初期消火する!
● 水や消火器だけで消そうと思わず、座布団で火を叩くなど手近なものを最大限に活用してください。
● 火が小さいうちは消火可能ですが、火が天井にまで燃え移っていたら消火を諦めましょう。
早く逃げる!
● 避難するときは、燃えている部屋の窓やドアを閉めて空気を遮断してください。
● 煙を吸い込まないように、一気に走りぬけてください。
基本的なことじゃが、非常時は冷静な対応ができないもんじゃ…。しっかり『もしも』の際の行動パターンを頭に入れておいた方が良さそうじゃのう。
初期消火の方法
初期消火活動の方法ですが、最も確実なのが消火器の使用です。しかし、いざというとき、躊躇いなく消火器を使えるでしょうか? 使い方がわかっていなければ、それは難しいでしょう。まずは消火器の種類と使い方を『知ること』から初めて下さい。
一般的に普及している消火器は、万能に使える粉末系消火器です。粉末消火器は消火剤の成分に、火の燃焼を抑制する抑制効果作用が備わっているため、素早く火を消すことができるのです。粉末系消火器は使用できる時間が短く、10秒から20秒ほど。そのため、しっかりと火に向けることが大切です。
また、消火器を使って消火しても、火種が残っている場合があります。そのため、温度が下がったあとに水をかけて完全に消火するようにしましょう。ただし、揚げものの油が発火した場合は、水をかけると火が燃え上がるので、絶対にNGです。油の場合は消火したあと、ガスの元栓を締め、温度を下げることが大切です。
一般に初期消火のが可能なのは、天井に火がまわるまでといわれております。
これが初期消火の限界と考えて、天井に火がまわれば、現場に到着する消防隊にまかせてください。
また、大声で周りの人に火災であることを知らせることも大切です。一人での消火活動を考えずにみんなで協力をすることも大切です。
消火器の使い方、分からないわ…。
自治会等で『消火器の使い方』『消火栓の使い方』の勉強会があるところもあるみたい!
地域住民の消火活動の重要性
木造建築物の火災を放置するか、もしくは消火できなかった場合、下図のように火元の家から隣の家へ、さらに隣向こうの家へと延焼拡大します。 このように、延焼拡大し運命を共にする建築群のことを「クラスター」といい、クラスター内の建物から1件でも出火し、そのまま放置した場合、クラスター内の建物全てが焼失する単位のことを言います。
街を火災から守るには、市民の初期消火活動が非常に重要です。火災現場に居合わせた地域の住民同士が連携して消火活動を実施することが被害を最小限に抑える最も効果的な方法です。阪神・淡路大震災では、初期消火を実施した 4割近くの火災が地域住民の手で消火に成功しており、市民による初期消火活動の重要性が示されています。
移動式ホース格納箱と消火栓 (市民消火方法)
移動式ホース格納箱とは、道路上にある消火栓にホースをつなげて、上水道管の水圧で放水する資機材を一式収納した箱を言います。消火栓を使用して誰でも簡単に消火活動ができることから、火災対策として注目を集めている消火方法です。
消防本部に移動式ホース格納箱の取扱訓練を依頼すると各地域へ消防署員が出向いて、消火栓を使用した放水訓練を指導します。いざという時に移動式ホース格納箱が使えるように地域全体で取扱訓練を実施しましょう。
消防団の活動について
消火活動
まず誰もが真っ先に連想する消防団の仕事といったらこれです。一回の火災に対して消防署のポンプ車が数台しか出れない地域などでは消防団と連携し消火活動を行うことによって、いち早い消火活動ができるのです。また、消防署から遠い地区などでは、その地区が火災になった場合、消防署の消防車が来るまで、その地区の消防団の方たちが、初期消火を行い、被害を最小限に抑えるなどということも珍しくありません。
二次災害の予防
延焼を防ぐために付近を監視したり、あるいは消防署の指示で危険なものを移動したり、近くの人を安全な場所まで誘導したりします。
交通整理
消防隊がスムーズに消火活動をできるように、付近道路の交通整理に当たります。また、水利が道路の向こう側にある場合、ホースが道路を横断するので、通行車両に踏まれないようステップを敷いてホースを保護します。みなさん、車でこのような火災現場に遭遇したら、ホースを直接踏まないで、ステップの上を走ってください。
後方支援
林野火災など水利の状況が悪い場所の火災などの時、消防団の各分団が連携し現場の消防署の消防ポンプ自動車に水を中継送水することもあります。また、消防署の消防ポンプ自動車が消火栓ではなく防火水槽の水を吸い上げて消火活動を始めた場合、防火水槽の水には限りがあるので、その防火水槽に水を補給したりします。さらに、消防署の消防隊が帰った後に、使い終わった防火水槽に再び水を補給する作業をします。
現場の監視
消防署の消防隊によって鎮火すれば消防隊は次の出動に備えるためいったん帰ります。消防団も鎮火すれば解散になります。しかし、完全に消えたという保証はありません。ひょっとしたら布団の綿がくすぶってていつまた発火するかわかりません。解散した後も担当消防団は居残って現場の警戒に当たります。夜に起きた火災であれば、原則として夜が明けるまで監視を続けます。
現場検証の立会い
火災が鎮火すれば、消防と警察による現場検証があり、消防団はその手伝いをします。検証の邪魔になる燃え残った家財や柱などの片付けです。夜間の火事であれば翌朝行われるので、担当分団の分団員は徹夜のまま現場検証に当たることもあります。
消防団は火災時も様々な対応をしてくれるんじゃ。火災時に備えて定期的な訓練も行っているようじゃのう。
消防団は『良い面』と『悪い面』が極端なんじゃよ…。
まとめ
火災とは、一瞬で大切な財産や思い出を奪ってしまう恐ろしい災害です。一人ひとりが防火防災に関する意識の高揚を図っていく必要があると思います。地域住民・消防団・消防隊の方と協力し、1件でも火災件数を減らせるよう心掛けていきたいですね。
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