消防ポンプ操法大会における訓練期間や訓練内容について

防災
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消防団に加入されている方は皆さんご存じだと思いますが、今回は『消防ポンプ操法大会』について記事を書かせてもらいました。消防団に加入している方、勧誘されている方、色々な方に見ていただいて『消防ポンプ操法大会』の是非を考えて欲しいと思います。

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『部』『支団』単位で行う消防ポンプ操法大会

消防団の組織体系

まず、消防団について少しだけ説明します。消防団とは『非常勤の公務員』と位置付けられ、各自治体の条例に定められております。条例・規則・内規等により、消防団の服務や組織規則、交付金について定まっている『公の団体』となります。各自治体の条例等で定められているため、消防団の組織体系・指揮系統・出動区分は異なるものとなります。『部制』『支団制』などの組織体系がありますが、本部会や組織再編協議会等で組織の見直しが行われている消防団もあるみたいです。

市区町村に一つの消防団組織  -ーー 〇〇市消防団
〇〇市消防団を地域毎に細分化 --- 〇〇市消防団 〇〇支団
〇〇支団を更に細分化 --- 〇〇市消防団 〇〇支団 〇分団

消防ポンプ操法大会とは

『部』『支団』単位で行う消防ポンプ操法大会とはその名のとおり、『〇〇市消防団』『〇〇支団』内で実施される消防ポンプ操法大会のことであり、一つの消防団組織内における優劣を付け、また2年に1回開催される『消防ポンプ操法大会(県大会・全国大会)』の選手選考の機会として位置付けられています。

選手選考の方法

選手選考は各分団内で決めるが、立候補や順番制、幹部からの推薦が上げられる。地域性もあると思うが、幹部からの推薦を受けた場合は、特段の理由がない限り断れない風習は残っているようである。中には『指揮者で優秀賞を取りたい。』『目立ちたい』等の理由から立候補する団員も存在するが、『順番だったから』『幹部から説得されたから』といったネガティブな理由が多いのが実情である。

訓練の程度と内容

訓練の回数や頻度は、消防団組織の幹部が決定することが多い。支団や部単位の大会であれば、各支団や各部の幹部が訓練日程や会場を決定し、選手に伝達される。訓練期間は1週間~2週間程度が多く、訓練期間は消防署員を教官として派遣してもらい、厳しい指導を受けることになる。また分団の幹部からは自主訓練を強いられることになる。

訓練期間:1週間~2週間程度(ほぼ毎日) ※別に自主訓練あり
訓練時間:20時~22時まで(休日は早朝訓練を行う分団も)

訓練内容は礼式から基本動作、可搬ポンプの取り扱い、ホース延長、放水まで順番に行っていく。教官である消防署員が訓練内容を計画するが、新入団員等で基本動作ができていない場合は、分団幹部が指導する。なお、ポンプ車操法であれば乗車訓練も必要になるため、訓練時間が増える可能性もある。

選手にならなくても使役者として訓練には参加する必要があり、準備・片付け、ホース巻き等のサポートを行う。結論的には、選手でなくても訓練期間は自由がほとんどなくなる。なお、ポンプ操法大会のための訓練は活動手当の支給対象外であるため、消防団員に慰労金等の金銭給付は行われない。

ポンプ操法の訓練時、分団幹部は厳しくなるため、結構怒られる。可搬ポンプの調子が悪いと、分団幹部はイライラし始める。新型の可搬ポンプを導入している分団に、分団幹部は妬み・嫉み。

大会当日

会場や準備品の確保や段取り、司会進行等は自治体の職員が行うが、会場の準備や撤去等は消防団員が行うことになる。火点や停止線などは消防署員が設置し、審査員も消防署員が務めることになる。

来賓としては、市議会議員や自治会長、後援会、他の消防団幹部などであり、年功者の前で競技を行い、また1回勝負であるため、訓練とは違う緊張感は味わえる。

減点方式で審査が行われ、点数が高い分団が優勝となる。ここで重要なのが、分団(チーム)の優勝ではなく、個人賞なのである。ポジション(番手)毎に最優秀選手が選出され、表彰される。名誉なことかもしれないが、消防団の幹部の目には、『県大会・全国大会の選手候補誕生』と見えているだろう。努力の末に、優秀な賞を得られたことは素晴らしいことだろうが、ひとくちに喜べないのも実情である。

メリット

・団結力は生まれる。

・優秀賞を受賞した場合は、素直にうれしい。

・慰労会で沢山飲める。

デメリット

訓練期間は自由がない。(趣味の時間が少なくなり、ストレスが…)

・仕事後の訓練はきつい。(ライフワークバランスが乱れる…)

家族に負担をかける。(妻の理解がないと、非常に辛い…)

・悪気やミスがなくても不条理に怒られる。(部活で顧問で怒られる感じ…)

支団や部単位のポンプ操法大会でも団員負担は大きいのね…

県大会・全国大会は想像を絶する訓練内容みたいじゃぞ…

消防ポンプ操法大会(県大会・全国大会)

2年に1回に開催される大会であり、主催は総務省消防庁と公益財団法人日本消防協会である。全国大会は『二重巻ホース』で実施され、県大会は『二重巻ホース』『折りたたみホース』のどちらかで実施され、消防学校が作成した実施要領に定められております。全国大会は10月県大会は8月に開催されるため、夏の暑い時期に開催されることから非常に過酷な大会となります。後述しますが、この大会に向けた訓練が常軌を逸しており、操法大会の廃止を訴える声も少なくありません。

選手選考の方法

選手選考については、消防団員の中で複数名を選出しなくてはなりません。競技に必要な最低人員は次のとおりです。

可搬ポンプ操法 5人(指揮者、1番員~3番員、補欠)
車両ポンプ操法 6人(指揮者、1番員~4番員、補欠)

最低人員で訓練を開始する消防団はほとんどなく、1番員から4番員は怪我する可能性があることから、7人~9人程度を選手候補者として選出し、 訓練を開始する消防団が多いです。消防団幹部は『部』『支団』単位で行う消防ポンプ操法大会の優秀選手に注目しますし、断るためにはそれなりの理由は準備しておきましょう。

『仕事』が忙しくて選手になれません。

これはNGワードです。『みんな仕事している!理由にならん!』と幹部から怒られますし、マウントを取られかねません。

訓練の程度と内容

訓練の開始時期は消防団次第で異なりますが、全国大会常連の消防団は 8か月前から 訓練を開始していると聞いたこともあります。

消防署からの正式な教官派遣は大会開始年度の4月1日となりますが、自主練習期間を設ける消防団が多く存在します。

大会までの行事(参考)

1月中 選手選考・決定/消防団幹部・選手候補者で懇親会
1月中 選手候補者の家族・職場へ挨拶周り
2月 自主訓練開始(消防団のみの訓練、教官なし)
4月 消防署より教官派遣/正式訓練の開始
6月~7月 消防学校への入校
6月~7月 他の消防団との合同訓練
7月 壮行会
8月 県大会リハーサル/県大会/慰労会
10月 全国大会

自主訓練

選手候補が訓練会場(訓練会場は自治体の担当者と調整)に集まり、基礎体力訓練や礼式訓練、車両ポンプ操法であれば乗車まで行う消防団が多い。

訓練回数 週2回~週3回(20時~22時まで)

正式訓練

4月1日付けで正式に教官が派遣されるため、訓練の厳しさが増します。基礎体力訓練は訓練前の時間に行うよう指示されることもあります。教官としては6月~7月に予定されている『消防学校への入校』までに仕上げる計画をたてています。なぜならば、『消防学校への入校』の時点で審査が始まっていると言っても過言ではないからなのです。入校までにある程度仕上げ、大会当日までに修正・改善していることが主流です。訓練が過酷すぎること、ポンプ操法の動きが特殊すぎること、この2つの理由から怪我する選手候補者は必ず現れます。

選手候補者は体力的・精神的にきつようね…大丈夫かしら

選手候補者だけじゃなく、使役団員も大変みたい

自治体の担当者も訓練のサポートで残業が多いって噂も…

大会当日

大会は消防学校で行われますが、県内の消防団が集合するため、プレッシャーは相当のものになります。ポンプ操法は1回勝負であり、ミスが許されない環境、消防団の団長や副団長、幹部が見守る中で行う操法は技術よりも精神力が必要になってきます。

メリット

・達成感は味わえる

・団結力は生まれる。

慰労金がもらえる。(県大会の場合は自治体より交付金が支給される)

デメリット

訓練期間は自由がない。(趣味の時間が少なくなり、ストレスが…)

・仕事後の訓練はきつい。(ライフワークバランスが乱れる…)

家族に負担をかける。(妻の理解がないと、非常に辛い…)

・悪気やミスがなくても不条理に怒られる。(部活で顧問で怒られる感じ…)

過酷な訓練により、怪我する可能性が高い

・訓練期間が長すぎるため、家族(妻)に負担をかけ、不仲になることも…

・慰労金では割に合わない。

職場にも迷惑をかける可能性も。(訓練のため残業ができなくなる。)

デメリットが多すぎて、大会の意味が分からないわ。旦那が選手だったら、家事・育児はワンオペね…素直に応援はできないわ。

選手や家族への負担が大きく、大会の是非を問う声も少なくないみたいだよ!!疑問があったら声をあげるべきだね!

まとめ

私自身、消防ポンプ操法大会は不要であると思っておりますし、『車両への乗車訓練』など、火災現場では全く役に立たない動作です。実際、あんな動きを火災現場でしていたら、間違いなく消防署員に怒られます。

『ポンプ操法は、火災現場において1分1秒を争う消防活動を、より合理的に、より円滑に行うために欠くことのできない訓練の一つ』と定義されていますが、果たしてそうなのでしょうか。本当に消防ポンプ操法大会は必要ですか?

火災を想定した訓練は必要だと思いますし、ポンプの取り扱いはもちろん、指揮系統の確立も重要ではありますが、訓練の在り方も見直しが必要な時ではないのでしょうか。

消防ポンプ操法大会の廃止・消防団員の負担軽減を求めます。
※消防団毎で訓練日程や内容は異なります。

コメント

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